年末が近づくと、今年の利益を見ながら工具や機材の買い替えを考える一人親方の方も多いのではないでしょうか。
令和8年度税制改正により、少額減価償却資産の特例の対象が「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられました。
この記事では、一人親方がこの特例を使って年内の設備投資を節税につなげるための条件と注意点をまとめます。
少額減価償却資産の特例とは
通常、10万円以上の工具や機材を買うと、耐用年数に応じて何年かに分けて経費にする「減価償却」が必要です。
少額減価償却資産の特例を使うと、一定額未満の資産であれば、買った年に全額を経費にできます。
2026年の主な改正ポイント
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 対象となる取得価額 | 30万円未満 | 40万円未満(2026年4月1日以後の取得分) |
| 年間の上限 | 合計300万円 | 合計300万円(据え置き) |
| 適用期限 | 2026年3月31日 | 2029年3月31日まで延長 |
2026年3月31日以前に取得した資産は、従来どおり30万円未満で判定します。
同じ年の中でも取得日によって基準が変わるため注意しましょう。
一人親方が特例を使うための条件
特例を使うには、いくつかの条件を満たす必要があります。
- 青色申告をしていること(白色申告では使えません)
- 1台・1個・1組あたりの取得価額が基準未満であること
- その年に実際に事業で使い始めていること
- その年の特例の適用額が合計300万円までであること
特に注意したいのは「その年に使い始めていること」です。
12月に注文しても、納品と使用開始が翌年になれば、今年の経費にはできません。
消費税の扱いで判定額が変わる
取得価額は、税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で判定します。
免税事業者の一人親方は、税込金額で判定することになります。
金額ごとの経費処理の違い
工具や機材の金額によって、使える方法が変わります。
| 取得価額 | 処理方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 全額をその年の経費にできる | 白色申告でも可 |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等に経費化できる | 白色申告でも可 |
| 40万円未満 | 少額減価償却資産の特例で全額をその年の経費にできる | 青色申告のみ・年300万円まで |
| 40万円以上 | 耐用年数に応じて減価償却 | 特例の対象外 |
一人親方が対象にしやすい購入例
一人親方の仕事で使う次のような資産は、取得価額が基準未満であれば特例の対象になり得ます。
- インパクトドライバーや丸ノコなどの電動工具
- レーザー墨出し器や測定機器
- 見積書や請求書の作成に使うパソコン・タブレット
- 現場への移動に使う中古の軽バンなどの車両
車両やパソコンをプライベートでも使う場合は、事業で使う割合に応じて按分する必要があります。
年内に買うなら今から計画を
工具や車両は、在庫状況によって納品まで時間がかかることがあります。
年内の使用開始を目指すなら、11月中には購入するものを決めておくと安心です。
今年の売上と経費の見込みを帳簿で確認し、利益が出ている年に必要な設備投資をまとめるのが上手な活用方法です。
確定申告での書き方と注意点
特例を使う場合は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に資産を記載し、摘要欄に「措法28の2」と書きます。
償却資産税の申告にも注意
特例で経費にした資産は、市区町村への償却資産の申告対象になります。
償却資産の課税標準額の合計が免税点の150万円未満であれば、固定資産税(償却資産)はかかりません。
なお、令和8年度税制改正で、この免税点は令和9年度以後の固定資産税から180万円に見直されています。
「節税のための買い物」になっていないか確認
特例は税金を減らす効果がありますが、お金を使えば手元資金は減ります。
本当に必要な工具や機材かどうかを考えたうえで活用しましょう。
最新の取扱いや個別のケースについては、国税庁の情報や税理士に確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. 白色申告の一人親方でも40万円未満の特例は使えますか?
A. 使えません。
少額減価償却資産の特例は青色申告をしている方が対象です。
Q. 12月に買った工具も今年の経費にできますか?
A. 12月中に取得して事業で使い始めていれば、今年の経費にできます。
納品や使用開始が翌年になる場合は、翌年分の扱いになります。
Q. 40万円未満の工具を何個買っても全額経費になりますか?
A. 特例を使えるのは、その年の取得価額の合計で300万円までです。
300万円を超えた分は通常の減価償却になります。


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