建退共(建設業退職金共済制度)は、建設業で働く人のための国の退職金制度です。一人親方でも加入できますが、通常の事業者とは加入方法が異なります。
このページでは、2026年現在の情報をもとに、一人親方が建退共に加入する方法・掛け金・経費になるか・退職金の目安・辞退届の書き方まで一気に解説します。
建退共とは
建退共(建設業退職金共済制度)は、国が運営する建設業専門の退職金制度です。建設業では現場・事業所が頻繁に変わるため、事業所ごとの退職金が受け取りにくい実情があります。建退共はそれを補う制度として設けられています。
- 運営主体:独立行政法人 勤労者退職金共済機構(建退共部門)
- 対象:建設業に従事する労働者・一人親方
- 仕組み:事業主が共済証紙を購入・手帳に貼付 → 働いた日数に応じて退職金が積み立てられる
一人親方が建退共に加入する方法
一人親方が建退共に加入するには、任意組合を通じた加入が必要です。会社員と同じ方法では加入できません。
方法①:一人親方同士で任意組合を結成する
一人親方が集まって任意組合を結成し、その組合を「事業主」として建退共と契約します。大工組合・左官組合などの既存の団体がある場合はそこを活用できます。ただし、任意組合の結成には手間がかかるため、②の方法が現実的です。
方法②:既存の任意組合に加入する
すでに建退共と契約している任意組合に加入することで、建退共制度を利用できます。どの任意組合があるかは、建退共の各支部に問い合わせると教えてもらえます。
建退共の掛け金(2026年現在)
建退共の掛け金は、1日あたり320円(2021年10月改定後)です。証紙1枚が320円で、働いた日数分を手帳に貼付します。
| 月の就労日数 | 月額掛け金の目安 |
|---|---|
| 20日 | 6,400円 |
| 22日 | 7,040円 |
| 25日 | 8,000円 |
なお、CCUSとの連携により電子申請(証紙の電子化)も段階的に進んでいます。
建退共の退職金はいくらもらえるか
退職金は加入年数(就労日数)が長いほど増えます。2021年10月以降は予定運用利回りが1.5%程度に変更されており、以前より利回りは低くなっています。
| 加入年数 | 掛け金総額(目安) | 退職金額(目安) |
|---|---|---|
| 10年 | 約77万円 | 約84万円 |
| 20年 | 約154万円 | 約183万円 |
| 30年 | 約230万円 | 約299万円 |
| 40年 | 約307万円 | 約448万円 |
※掛け金・退職金は就労日数・利回りによって変動します。目安としてご参照ください。
建退共の掛け金は経費にできるか
一人親方の建退共の掛け金は、経費(必要経費)にはできません。
一人親方は任意組合を通じて加入するため、掛け金は「自分自身に掛けたもの」とみなされます。事業主が従業員のために支払う退職金と異なり、自分自身への積立は事業の必要経費として認められません。
ただし、退職金を受け取る際は「退職所得」として税制上の優遇(退職所得控除)が適用されます。長期間加入していると受取時の税負担が大幅に軽くなります。
建退共のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 国が運営する安全・安心な退職金制度 | 一人親方は任意組合経由の加入が必要でハードルがある |
| 掛け金が少なく長期間で大きくなる | 掛け金は経費にならない |
| 退職時に退職所得控除が使える | 利回りが以前より低下(2021年10月改定後) |
| 転職・移動先でも継続して積み立て可能 | 証紙の貼付管理が手間(電子化は進行中) |
建退共の辞退理由・加入しない場合の書き方
公共工事の現場では、建退共に加入していない場合に「辞退届」の提出を求められることがあります。一人親方が建退共に未加入の場合の辞退理由は以下が一般的です。
- 「当社従業員が個人として加入する意思がない」(最もよく使われる)
- 「その他」欄に「任意組合に未加入のため」と記入する方法も可
建退共は任意加入の制度なので、辞退届を出すこと自体は問題ありません。
まとめ
- 一人親方が建退共に加入するには任意組合への加入が必要
- 掛け金は1日320円(2026年現在)
- 掛け金は経費にならない(退職時は退職所得控除あり)
- 長期加入ほど退職金が増え、受取時の税制優遇も大きい
- 未加入の場合は辞退届で対応可能(任意加入のため罰則なし)
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