一人親方にとって、10月から12月は「今年の税金」を減らせる最後のチャンスです。
確定申告の時期になってから節税策を探しても、掛金の支払いが年内に終わっていなければ今年分の控除には使えません。
この記事では、一人親方が年内に検討したい小規模企業共済・経営セーフティ共済・iDeCoの3つについて、違いと12月までにやるべきことを整理します。
年内に動くべき理由
所得控除や必要経費は、原則としてその年の12月31日までに支払ったものが対象です。
つまり、今年の利益が思ったより多かった場合でも、年が明けてからでは今年分の税金を減らす手段が限られます。
特に共済やiDeCoは、加入手続きから掛金の引落しまで時間がかかることがあります。
「12月に入ってから申し込んだら間に合わなかった」ということがないよう、10月〜11月のうちに動き出すのが理想です。
3つの制度の違いを比較
| 項目 | 小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 | iDeCo |
|---|---|---|---|
| 目的 | 廃業・引退時の退職金 | 取引先倒産時の資金確保 | 老後の年金 |
| 掛金 | 月1,000円〜70,000円(500円単位) | 月5,000円〜200,000円(5,000円単位) | 自営業は月68,000円まで(国民年金基金と合算) |
| 税務上の扱い | 全額が所得控除 | 個人は事業所得の必要経費 | 全額が所得控除 |
| 年間の最大額 | 84万円 | 240万円(積立総額は800万円まで) | 81万6,000円 |
| 前納 | 1年以内の前納分も控除できる | 1年以内の前納分はその年の必要経費 | 前納の仕組みはない |
小規模企業共済|一人親方の退職金づくりの定番
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金制度です。
一人親方も加入の対象になります。
掛金は月1,000円から70,000円まで500円単位で選べ、支払った掛金は全額が所得控除になります。
最大で年間84万円を所得から差し引けるため、所得税と住民税の両方を減らせるのが大きなメリットです。
さらに、1年以内の前納掛金もその年の控除に含められます。
利益が多かった年に、翌年分をまとめて前納して控除額を増やすという使い方も可能です。
ただし、加入期間が短いうちに任意解約すると、受取額が掛金の合計を下回ることがあります。
無理のない掛金額を設定し、長く続けることを前提に考えましょう。
経営セーフティ共済|経費にできる積立
経営セーフティ共済は、取引先が倒産したときに資金を借りられる共済制度です。
掛金は月5,000円から200,000円まで5,000円単位で設定でき、積立総額800万円まで積み立てられます。
個人事業主の場合、支払った掛金は事業所得の必要経費に算入できます。
1年以内の前納分も支払った年の必要経費にできるため、利益が大きく出た年の対策として活用されています。
注意したいのは、解約して受け取った解約手当金はその年の収入になる点です。
引退の時期や所得が少ない年に解約するなど、受け取るタイミングまで考えて使うことが大切です。
また、加入から短期間で解約すると元本割れすることがあります。
iDeCo|12月から上限が引き上げ
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を積み立てて運用する年金制度です。
掛金は全額が所得控除となり、運用益も非課税で再投資されます。
自営業者など国民年金の第1号被保険者の掛金上限は、現在は国民年金基金と合わせて月68,000円です。
制度改正により、2026年12月分の掛金(2027年1月引落し)から月75,000円に引き上げられます。
iDeCoは原則60歳まで引き出せません。
急な出費に備える資金とは分けて考え、生活に支障のない範囲で掛金を決めましょう。
12月までにやることチェックリスト
- 今年の売上と経費を集計し、おおよその所得を把握する
- 3つの制度のうち、目的に合うものを選ぶ
- 加入手続きに必要な書類(確定申告書の控えなど)を用意する
- 掛金の引落し日を確認し、年内に支払いが完了するか確かめる
- 前納を使う場合は、手続きの締切を窓口に確認する
- 支払った掛金の証明書を確定申告まで保管する
よくある質問
Q. 小規模企業共済と経営セーフティ共済は両方加入できますか。
A. 加入要件を満たしていれば、両方に加入することは可能です。
目的と税務上の扱いが異なるため、資金繰りに無理のない範囲で組み合わせを検討しましょう。
Q. 12月に加入しても今年の控除になりますか。
A. 控除の対象になるのは、その年中に実際に支払った掛金です。
加入手続きから初回引落しまで時間がかかることがあるため、早めに窓口で確認してください。
Q. 節税額はどのくらいになりますか。
A. 所得額や税率によって大きく異なります。
具体的な金額は税理士や税務署に相談して確認すると安心です。


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