一人親方で建設業許可を持っている人はまだ少数派です。しかし、受注の幅を広げ、社会的信頼を高めるうえで、建設業許可の取得は大きな武器になります。
このページでは、一人親方が建設業許可を取るメリット・デメリット・取得条件・費用・手順を2026年現在の情報で解説します。
建設業許可を取る5つのメリット
① 500万円以上の工事を受注できる
建設業許可がなければ、原則として1件の工事で500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)を請け負うことはできません。許可を取ることで受注できる仕事の規模が一気に広がります。
500万円以上の工事は利益率も高く、一人親方の収入を大きく押し上げる可能性があります。
② 公共工事の入札に参加できる
国・都道府県・市区町村が発注する公共工事に入札参加するには、建設業許可が必要です。公共工事は民間工事に比べて仕事量が安定しており、代金の未払いリスクも低い点が魅力です。
③ 元請・発注者からの信頼が上がる
建設業許可は取得に一定の要件(経験・財産・資格)を満たす必要があるため、「きちんとした業者」として認識されるようになります。元請から優先的に仕事を回してもらいやすくなるケースも多いです。
④ 金融機関からの融資が受けやすくなる
一人親方は社会的信用が低く見られがちで、銀行融資のハードルが高い現実があります。建設業許可を持つことで「経営基盤がある事業者」として評価され、融資審査に有利になります。
⑤ 施工体制台帳への許可番号記載で信用アップ
建設業許可を持っていると、施工体制台帳や名刺・見積書に許可番号を記載できます。これだけで元請や施主からの印象が大きく変わります。
建設業許可を取るデメリット・注意点
| デメリット・注意点 | 内容 |
|---|---|
| 取得費用がかかる | 申請手数料9万円+行政書士に依頼する場合は10〜15万円追加 |
| 5年ごとの更新が必要 | 更新手数料5万円。期限切れで許可が失効する |
| 毎年決算変更届の提出が必要 | 決算日から4ヶ月以内に提出。怠ると更新できなくなる |
| 社会保険への加入が必要 | 健康保険・年金への加入が要件(一人親方は国民健康保険・国民年金でOK) |
| 要件を維持し続けなければならない | 専任技術者がいなくなった場合などは許可が取り消されることがある |
一人親方が建設業許可を取るための4つの条件
条件①:経営業務の管理責任者(経管)
申請者本人が以下のいずれかを満たす必要があります。
- 建設業の経営者(個人事業主含む)として5年以上の経験がある
- 建設業の役員等に準ずる地位で5年以上の経験がある
- 建設業で2年以上の役員経験を含む6年以上の経験がある(2020年10月改正後の緩和要件)
一人親方として5年以上事業を続けていれば、確定申告書・請求書などで経験を証明できます。
条件②:専任技術者(専技)
許可を受けたい業種について、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 国家資格を保有(施工管理技士・建築士・技能士など)
- その業種の実務経験が10年以上(高校・大学の関連学科卒業で短縮可)
一人親方の場合は自分自身が経管と専技を兼任できます。
条件③:誠実性
建設業法・宅建業法などの法令違反、詐欺・脅迫などの犯罪がないことが必要です。
条件④:財産的基礎
一般建設業許可の場合:自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(残高証明書など)。
費用の目安
| 費用の種類 | 金額(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 申請手数料(知事許可・新規) | 9万円 | 都道府県に納付する収入証紙 |
| 行政書士報酬(依頼する場合) | 10万〜15万円 | 書類作成・申請代行の費用 |
| 証明書類の取得費用 | 数千円〜1万円程度 | 住民票・登記されていないことの証明書など |
| 5年後の更新手数料 | 5万円 | 更新ごとに発生 |
自分で申請すれば申請手数料の9万円のみで取得できます。
取得の手順(ステップ別)
- 要件の確認:経管・専技・誠実性・財産の4要件を自分が満たしているか確認する
- 必要書類の収集:確定申告書5年分・資格証・残高証明書・住民票など
- 申請書類の作成:都道府県の手引きに沿って作成(行政書士に依頼も可)
- 窓口に提出・審査:都道府県の担当窓口へ提出。審査期間は標準30〜45日
- 許可通知書の受取:施工体制台帳・名刺・見積書に許可番号を記載できるようになる
取得後に必要な手続き
- 毎年:決算変更届の提出(決算日から4ヶ月以内)
- 5年ごと:更新申請(更新手数料5万円)
- 変更時:変更届(住所・商号などの変更は30日以内)
よくある質問
Q. 一人親方でも建設業許可は取れるのか?
A. 取れます。法人でなくても個人事業主として申請できます。自分自身が経管と専技を兼任することも認められています。
Q. 自分で申請できるのか?行政書士に頼む必要があるか?
A. 自分でも申請できます。書類の準備が複雑なため時間はかかりますが、9万円の申請手数料のみで取得可能です。書類作成が不安な方は行政書士(10〜15万円程度)に依頼する選択肢もあります。
Q. 建設業許可がないと500万円以下の工事しかできないのか?
A. 建設業許可なしでも500万円以下の工事(軽微な工事)は請け負えます。ただし元請によっては許可取得を条件にしているケースも多く、受注機会が限られます。
まとめ
- 建設業許可を取ると500万円以上の受注・公共工事参加・信用向上というメリットがある
- 一人親方でも条件を満たせば取得できる(自己申請なら費用は9万円のみ)
- 取得後は毎年の決算変更届と5年ごとの更新が必要
- まずは都道府県の窓口で要件を確認・相談するのが最初のステップ
➡ 建設業許可の取得手順・必要書類の詳細はこちら
➡ 施工体制台帳への許可番号の書き方はこちら
➡ 一人親方が法人化(会社設立)するメリットはこちら
🏗️ 一人親方の事務作業を効率化しよう
建設業許可・CCUS・確定申告など、一人親方の事務負担を減らすツールをまとめました。
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